2013年1月アーカイブ

SE構法の強さ(ちょっと専門的:塑性後の話)

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SE構法の強さは、逆説的ですが壊れ方にもあります。
在来木造でも柱や壁をどんどん増やしていけば、強い建物はできます。
しかし、どんな建物でも想定される限界はあります。(柱壁ばかりでは使い勝手も良くありません。暗い狭い部屋ばかりになってしまうかもしれません。)

建物が限界を超えて壊れるときに、木造は急激に耐力がなくなります。
細い木の棒を、ポキッと折ったところを想像してください。
一般的な金物工法は、接合に金物を使ってはいても崩壊は木部で起こります。ボキッと、建物が折れてしまうわけです。

SE構法の場合、構造計算により金属部分で壊れるように計画されています。細い金属の棒を折り曲げる時を想像してください。ポキッとは折れずに、ずいぶん粘ることが想像できます。

このことは、木造で構造計算(応力計算)をしっかり行う場合でもなかなか実現できないSE構法だけの大きな特徴と言えます。
(塑性域後の構造変形を一般建築で考慮することはほとんどありません。SE構法では実験結果に伴う接合部特性として取り扱われています。)

在来木造とSE構法で同じ建物を同じ強度になるように計画した場合、限界を超えた大きな力で、柱がポキッとなるか粘り続けるかの差があります。

想定内の地震についてがんばれる構法はたくさんありますが、想定外の地震が来た場合に命を守るという粘り強さは、SE構法の大きな特徴の一つです。

 

と、ここまで書いて、NCNのホームページを探したけど、記述がないねぇ。

いくら一般的ではないとはいえ、説明ページがないとは。(いや、あるかもしれませんが。見つけにくい?)

開発社の気持、広報知らずみたいな(^_^;)。

昨日、お客さんと話をしていて、屋根一体型の太陽光パネルの話題が出ました。

今、この瞬間だけを考えればメリットはあるんですけどね。屋根材の重複も防げるし。(実際には屋根一体型の太陽光パネルは、屋根材同等程度の防火性能を求められたりすることもありパネル自体が高価なため、価格的には巷言われるようなメリットはないのだけれど。)

しかし、やはり、「設備」に類するものを建物と一体化するのは好きになれないなぁ。

15年前のテレビが壁に埋め込まれていて容易に変えられないとしたら。15年前のエアコンが壁に埋め込まれていて容易に変えられないとしたら。15年前の給湯設備が壁に埋め込まれていて容易に変えられないとしたら。15年前の暖房器具が壁に埋め込まれていて容易に変えられないとしたら。

うちの会社の場合、200年住宅を標榜し長期優良住宅にも標準的に取り組み、水道配管のメンテナンス性(取り換えが容易な工夫も)まで気を遣う設計をしながら、一体型の設備類の採用って自己矛盾になっちゃいますしね。

太陽光パネルだって粗悪な製品では5年後程度から劣化がみられるものあったり、もちろん、そういうことのないような品質の高いものを選択するということは大切なんですが、それでも性能の低下を伴う劣化は起きます。何より、技術革新に力を入れている分野であり、今の製品が5年10年後に「超時代遅れ」の製品になっていることは想像できます。

別に太陽光パネルだけを責めるわけではないですが、よほどデザイン的なメリットがあったり、制度などの特別な事情がない限り「一体」設備は、やはり好きになれないな。と思います。

床暖房より、同じ輻射系暖房であれば床置き式の蓄熱式暖房器具のほうが好きだったりするのも、そういう所以です。
考え方ひとつなので、そのあたりのメリットデメリットを、お施主さんがご判断いただいたうえでの決定であれば何も問題はありませんし、自分の考えを押し付けるようなテーマでもないのですが。

ちなみに、一般的なビルトインコンロ(ガスもIHも)やビルトイン食洗器などは、容易に取り換えができるようになっています。