「傷がつきにくい」は「傷がつかない」ではありません。瓶を落とした後の反応から、傷のつき方、目立ち方、直し方まで含めた床材選びを考えます。
「心配なのは、わたし? それとも床?」
まちがって瓶を落としてしまった。
「ガッチャーン」
「大丈夫?」
「心配なのは、わたし? それとも床?」
「ゆ、ゆ、ゆ、由香だよ。」
長く暮らしていると、どうしてもこんなことがあります。
物を落とす。椅子を引きずる。家具を動かす。子どもがおもちゃを投げる。ペットが走る。知らないうちに砂粒を踏んで歩く。
家は、何も起きない場所ではありません。人が暮らす場所です。
だから、どんな床も必ず傷がつく前提で選んだ方がよいと思うのです。
「傷がつきにくい」は「傷がつかない」ではない
「硬い」「丈夫」「傷がつきにくい」は、床材の性能を比べるために必要な言葉です。
ところが「傷がつきにくい」と聞くと、いつの間にか「これなら傷がつかないかもしれない」という期待が生まれます。ここに、選ぶときの期待と、暮らし始めてからの現実のずれがあります。
メーカーの注意書きにも、傷への強さは一般的な製品との比較であり、傷がまったくつかないわけではないと書かれています。
傷に強い床にも傷はつきます。硬いタイルや石も、条件によっては欠けたり割れたりします。表面を強くしたフローリングも、落とした物の重さや形によっては、へこみや塗膜の傷が残ります。柔らかい木は、比較的小さな衝撃でも傷やへこみが生じやすい傾向があります。
違うのは、傷がつくか、つかないかではありません。
どんな力で、どんな傷がつき、どれほど目立ち、どう直せるかです。
瓶を落とした後、どう思いたいですか?
床材を選ぶときは、きれいな見本を見て考えます。
でも、その床との本当の相性が分かるのは、傷がついた後かもしれません。
瓶を落とした床を見て、
「普段から傷が増えているから、またか。今回は派手だね」
と笑える床。
「これだけ大きな音がしたのに、こんな小さな傷しかつかない。いいね」
と思える床。
「傷はついたけれど、目立ちにくく直せるから大丈夫」
と思える床。
傷がつかない床は選べません。
選べるのは、傷がついたときに、どんな反応ができる床かです。
瓶が落ちて、大きな音がしたとき。
まず、落とした人へ「大丈夫?」と言える。そして後から床を見て、「この床を選んでよかった」と思える。
失敗したときにどんな空気でいたいかまで想像すると、床材の見え方も変わります。
あなたは、どんな反応ができる床を選びたいですか?
みんなの答えは、きっと違います。
