キッチンを家具部分と機器部分に分け、構造・天板・扉・シンクの違いと各メーカーの特徴を整理します。
キッチンを選ぼうとすると、天板の素材、扉の色、シンクの形、食洗機、コンロなど、比べるものが一度にたくさん出てきます。
そこでまず、キッチンを「家具部分」と「機器部分」に分けて考えてみましょう。
キッチン選びは、まず家具部分を選ぶこと
キッチン選びとは、一義的には家具部分を選ぶことです。
家具部分とは、キャビネット、天板、扉、シンクなど、キッチン本体を形づくる部分のこと。コンロ、食洗機、レンジフード、水栓などは機器部分です。
メーカーによって、標準で組み込める機器には少し制約があります。ただし、それはメーカー設定の組み込み機器に限った話で、機器だけを別に発注して対応できる場合も多くあります。
最初から「このコンロが使いたいから、このメーカー」と一つに絞るのではなく、まず家具部分を見て、そのあとに必要な機器を組み合わせると整理しやすくなります。
家具部分は「構造」と「仕上げ」で見る
家具部分は、見えない構造部分と、毎日目に入り手に触れる仕上げ部分に分けて考えます。
構造部分
構造部分は、キャビネットの骨格や箱にあたります。普段は見えにくい部分ですが、耐久性や掃除のしやすさに関係します。
たとえば、クリナップの上位機種にはステンレスキャビネットがあります。湿気や汚れに強く、耐久性と衛生面で有利です。タカラスタンダードには、キャビネットの内側にもホーローを使う商品があります。
こうした構造にこだわった商品は価格帯が上がりますが、長く使う家具としてキッチンを考えると、比較しておきたいところです。
仕上げ部分
仕上げ部分のうち、メーカーごとの特徴が最も表れやすいのが天板です。
セラミック
焼き物であるセラミックを使った天板です。熱や傷、汚れに強く、素材感のある表情が特徴です。LIXILがセラミックトップを広く普及させ、現在は高価格帯を中心に選択肢が増えています。
ステンレス
ステンレス天板は、材質の厚みや表面加工によって見た目と使い勝手が変わります。細かな傷を目立ちにくくする加工や、落ち着いた光沢に仕上げたものなど、多くの種類があります。クリナップはステンレスの仕上げを幅広く選べるメーカーの一つです。
人造大理石
現在のキッチンで主力となっている天板です。樹脂などを固めてつくられる天板の総称で、使われる樹脂、配合、製造方法によって、熱や傷への強さ、色柄、質感が異なります。
ほとんどのメーカーに設定がありますが、トクラスは人造大理石の開発と加工に長く取り組んでいます。TOTOには、透明感のある「クリスタルカウンター」という独自性の高い選択肢もあります。
木製
天然木を天板に使ったキッチンにも一定の人気があります。水まわりなので手入れへの理解は必要ですが、近年は表面塗装や加工技術が向上しています。クリナップには天然木ワークトップの設定があり、ウッドワンは無垢材を生かした扉や収納を得意としています。
扉は、空間の印象を大きく変える
扉は面積が大きく、キッチンの見た目を左右します。同じ形のキッチンでも、扉材が変わると空間の印象は大きく変わります。
化粧シート
木目、石目、単色など、さまざまなデザインがあります。普及価格帯の中心となる仕上げで、柄や表面加工、扉のつくりによって価格グレードに幅があります。
ステンレス
扉の表面にもステンレスを使えます。多くのメーカーに設定がありますが、種類の豊富さではクリナップが特徴的です。業務用のようなシャープさだけでなく、落ち着いた表面仕上げも選べます。
ホーロー
ホーローの扉といえば、タカラスタンダードです。表面が硬く、汚れや熱に強いことに加え、磁石が付くため、マグネット収納や小物を自由に取り付けられます。
塗装
ピアノのような光沢のある塗装仕上げも、歴史のある方法です。各メーカーに設定がありますが、楽器づくりの技術を背景に持つトクラスは、塗装の美しさに定評があります。
木製
天然木の扉は、木ならではの質感と経年変化が魅力です。ウッドワンの得意分野であり、クリナップにも天然木を生かした商品があります。
シンクは、素材だけでなく形も比べる
ステンレスシンク
さまざまな天板と組み合わせられる定番の素材です。ステンレス天板と組み合わせれば一体感が出やすい一方、人造大理石など異素材の天板と組み合わせる場合には継ぎ目ができます。
近年は、この継ぎ目の処理にも各社が工夫を重ねています。表面加工やコーティングによって傷や汚れを目立ちにくくした上位グレードも増えています。クリナップやタカラスタンダードをはじめ、各社が力を入れている部分です。
人造大理石シンク
多くの場合、人造大理石の天板と組み合わせます。継ぎ目を目立たせず、天板からシンクまで一体感のある仕上がりにできるのが特徴です。
人造大理石は形をつくりやすいため、各社の設計思想が表れます。作業スペースとシンクの広さを両立する形、洗う・切る・捨てるという動きを考えた形、水やごみが流れやすい形など、比較のしがいがある部分です。
トクラスは奥行きを生かした独自形状のシンクを長く展開しています。TOTOの「すべり台シンク」や、クリナップの「流レールシンク」のように、水の流れを利用してごみを集めやすくする考え方にも、メーカーごとの工夫が表れています。
キッチンの選択肢は、既製品からフルオーダーまで
ここでは代表的なメーカー名を挙げていますが、トーヨーキッチンやキッチンハウス、直販メーカーのミラタップ、IKEA、ニトリなど、それぞれに特徴があります。
施主支給を検討したい場合にも、こうした選択肢があります。
それでも、求める空間にならないときは、フルオーダーで造作することもできます。
すべてを自分で調べ尽くすのは難しい
ここまで紹介したのは、各メーカーの特徴のほんのさわりにすぎません。
家具部分だけでも、構造、天板、扉、シンクにそれぞれ多くの選択肢があります。さらに機器部分まで含めると、確認することはかなりの量になります。
素材の名前が同じでも、メーカーや商品によって、原料、製造方法、表面加工、使い勝手などが異なります。カタログを見ただけでは、その違いが分かりにくいこともあります。
各社の特徴を少し紹介するだけでも、これだけの文章量になります。
すべてをご自身で調べ尽くす必要はありません。ご家族の暮らし方や料理の仕方、好み、ご予算を伺いながら、私たちが選択肢の違いを整理し、そのご家庭に合ったキッチン選びをお手伝いさせていただきます。
