照明メーカーの完成品(既製品)に頼らず、LEDテープを空間のベース照明や間接照明として造作で組み込むための数値目安と構成要素をまとめます。
〜照明メーカーの既製品を使わない、建築化照明のアプローチ〜
LEDテープは単なる装飾照明ではなく、設計と納まりの工夫次第で住宅の主照明として十分に機能する建築化照明です。本資料では、照明メーカーの完成品(既製品)に頼らず、LEDテープを空間のベース照明や間接照明として造作で組み込むための設計基準と構成要素をまとめます。
1. 造作LEDテープ照明の最大の特徴(メリット)
LEDテープ最大の強みは、**「デザインの対応力」**にあります。
- デザイン性: 器具の存在感を空間から完全に消し、「光だけ」を配置することに極めて有効です。また、ペンダントライトなどの意匠照明とデザインが干渉しません。
- 照度の適性: ベース照明や間接照明として空間全体を包み込む用途に最適です。一方で、配光のコントロールが難しいため、スポット照明や手元の作業照明には工夫が必要です。
- 価格メリット: 光量あたりの価格は、一般的なダウンライトと同程度です。ただし、直接光源として専用のアルミプロファイル(カバー付きケースなど)を見せる納まりにする場合は、部材費が高額になりやすい傾向があります。
全体的には、建築化照明としてコストダウンに寄与する場合が多いです。
2. 設計の”勘”どころ
LEDテープ設計の勘どころは、次の3つです。
- 必要な光量を「長さ」で把握する(この記事の最後に目安を出せる計算機を置いてあります。)
- 光源とトランス(電源)をつなぐ配線の処理(隠蔽配線のための造作納まり。)
- トランス置き場の確保
LEDテープの発光部は、自由に造作に組み込むことができます。しかし、既製照明のように配光性や電源の考慮は、設計で担保する必要があります。
3. 目的・スペースに応じた光源とケースの選定
空間の目的と設置スペースに合わせて、「直接光」か「間接光」かを選択し、それに最適なケース(納まり)を計画します。
• 直接光(見せる設置)の場合
◦ 設置場所: 天井際や天井中央など。
◦ ケースの選定: 光源が直接視界に入るため、拡散カバー付きのアルミプロファイル等を使用します。仕上げ材がクロスか、板材(木目調などの貼りもの)かによって、アルミプロファイルの設置形状が異なるため、周囲の素材に合わせたケースの色や納まりを検討します。
• 間接光(隠す設置)の場合
◦ 設置場所: 折り下げ天井(あご)、造作家具の上部、足元など。
◦ ケースの選定: 光源を見せず光だけを反射させるため、市販のアルミアングル、フラットバー、または建築用のアルミ見切り材や巾木などを活用し、放熱を兼ねた台座としてシンプルに納めます。カバーがないため光量のロスがなく、アルミアングルの材料は安価なので、メーター数(長さや光量)が必要な場所では有利になります。
4. 照度設計と計画の目安
• 基準ルーメン: 主照明として計画する場合、**「1000lm/メートル(約14W/m前後)」**を基本スペックの目安とします。
• テーブル照度(間接光の減衰): 間接照明として天井や壁にバウンドさせる場合、作業面(テーブルなど)に届く照度は直接光の1/2〜1/3程度に減衰します。間接照明を主照明とする場合は、このロスを見込んで余裕を持った光量設計(テープの列数を増やす等)が必要です。
【計画例】ダウンライトの代替プラン
LEDテープを直接光源のライン照明として、ダウンライトの代わりに配置する場合の目安です。
• 3Mのライン照明 = 100Wクラスのダウンライト 4灯分相当イメージ
• LDK空間の目安 = ダウンライト8灯が必要な広さのLDKであれば、約6M程度の直接光ライン照明を計画することで、同等のベース照度を確保できます。
5. 電源(トランス/アダプタ)の選定
設置環境(隠蔽か露出か)に応じて、電源の種類を明確に使い分けます。
• 天井裏など「隠蔽スペース」の場合
◦防塵・防滴・高耐久な有名メーカーのスイッチングトランスを使用します。(大きく重くなりますので、設置スペースの検討が必要です。)
◦ 定格120Wのトランスを使用する場合でも、安全マージンを考慮し、実際のテープ負荷は「最大80Wまで」に抑えて計画します。放熱・長寿命化の鉄則となります。
• 棚上など「露出スペース」の場合
◦ コンセントに挿して使用できるACアダプター(PSEマーク付き)を使用します。壁内等への隠蔽はできないため、アクセス可能なオープンな場所での使用に限ります。
• 設置に必要な空間
どちらの電源の場合も設置スペースはそれなりに大きく、天井隠蔽の場合は、点検口が必要で、断熱材などがかぶらないようにします。
放熱スペースを含めると、100mm角で、全長が400mm程度の立方体がすっぽり入る程度の空間が必要だということになります。
家具照明などの演出照明とは、出力のワット数が大きく異なるため、電源部の考え方は最も大きな差が生じるポイントです。
また、安全性にもかかわってくる重要なポイントとなります。
※演出照明の計画の場合は、別途ご相談ください。
6. 制御系(スイッチ・調光・スマート化)
• 点灯スイッチ
◦ 日常の使い勝手を考慮し、主電源のON/OFFは**通常の壁付けコンセント(壁スイッチ連動回路)**で行う構成を基本とします。
◦ 人感センサースイッチの使用も可能ですが、間に挟むPWMコントローラーや電源ユニットとの相性(動作遅延やチラつき等)を事前に検討する必要があります。
• 調光とスマート対応
◦ 調光を行う場合は、LEDテープと電源ユニットの間に**「PWMコントローラー」**を接続して行うのが最も合理的で一般的な手法です。
◦ スマートスピーカー(AlexaやGoogle Home等)への対応も、このPWMコントローラーをスマート対応製品(Wi-Fi等)にすることで実現可能です。
7. メンテナンス性と新技術への拡張
• 故障時の交換とコスト
◦ 電気工事士法上、DC24V以降の二次側配線は有資格者による工事が不要です。そのため、将来の交換やメンテナンスはDIYで対応可能な範囲が多く、業者を手配する必要があるダウンライトに比べ、長期的には安価に維持できるメリットがあります。
◦ 「トランスだけが故障した」「LEDテープだけが劣化した」といった場合でも、構成部品ごとの単独交換が可能です。
• 新技術への対応(ホームオートメーション)
◦ 最新のスマートホーム規格(Matterなど)やホームオートメーションに対応させたい場合、天井裏のトランスやLEDテープ本体はそのままに、「コントローラー部分の交換」だけで容易に最新システムへアップデート可能です。
◦ (※ただし、Wi-Fi設定やアプリ連携などについては、施主様自身の電気製品・ネットワークに対する一定の理解が必要となります)。
8. 造作LEDテープ照明 概算長さ算出プログラム
LEDテープ概算長さ算出プログラム
※100W相当DLなら 0.8m相当
