リノベか建て替えかは、築年数だけでは決まりません。基礎や構造など、残して使える部分の価値から判断します。
リノベーションにするか、建て替えるか。
この二つは、好みだけで比べてもなかなか決まりません。まず調べたいのは、今の建物に何が残せるかです。
基礎、柱や梁、屋根、外壁、内部の仕上げ、設備。それぞれの状態を調べ、残して使える部分の価値が大きければ、リノベーションのメリットも大きくなります。
残せるものは、同じ価値ではない
作品性や歴史、家族の記憶など、価格に置き換えられない価値がある建物もあります。再建築できない敷地で、今ある建物を生かす必要がある場合もあります。
そうした事情をいったん別にすれば、リノベーションの経済的なメリットは、残せる部分の量と価値で考えられます。
たとえば、基礎、柱や梁、屋根、外壁の状態がよければ、内部を大きく解体して間取りや設備をつくり直しても、建物の主要な部分を再利用できます。既存部分の条件と補強方法が合えば、耐震等級3を確保し、断熱等性能等級は5~6というところまで高性能化できる場合があります。
新築で一から同じ性能と広さをつくる場合より、総額を抑えられる可能性があります。ただし、実現できる性能と費用は、既存建物の構造、形、劣化、工事のしやすさによって変わります。
反対に、内部の仕上げや設備に残せるものが多く、屋根や外壁、耐震、断熱を中心に改修する方法もあります。新しくする範囲を必要な部分に絞れれば、建て替えにはないメリットが生まれます。
判断が難しいのは、基礎
リノベーションか建て替えかを分けるうえで、特に判断が難しいのが基礎です。
基礎の形、ひび割れや劣化、コンクリートの状態、鉄筋がどのように入っているか。確認したい項目はいくつもあります。しかし、基礎だけを建物から切り離して評価することはできません。
基礎の役割は、建物の重さや地震時の力を地盤へ伝えることです。そのため、基礎の仕様だけでなく、地盤との組み合わせで考える必要があります。
築年数がたち、その間に目立った沈下や傾きが起きていなければ、その地盤と基礎の組み合わせが長い時間を過ごしてきたという事実は、評価材料になります。古い仕様だから、すぐに使えないと決まるわけではありません。
一方で、これまで沈下していないことが、将来も沈下しない保証になるわけではありません。現在の傾きやひび割れ、周辺の地盤条件、増改築の履歴なども合わせて確認します。
今の耐震性能は、基礎を「押す力」だけでは決まらない
現在の木造住宅では、地震で建物が揺れたときに柱や耐力壁へ生じる引抜きの力を、接合部から基礎まで伝えることも重要です。
古い基礎を後から補強し、新しい耐震計画に必要な引抜きへの抵抗力を持たせる工事は、条件によって制約が大きくなります。施工できる場所、既存鉄筋との関係、補強に必要な費用を確認しなければなりません。
そこで、補強方法だけでなく、耐力壁の位置や建物の形、間取りを調整し、特定の場所へ大きな力が集中しにくい構造計画を考えます。既存の基礎に無理をさせない計画ができるかどうかも、残せる価値の一部です。
「過半数を残せる」は、ひとつの目安
床面積の半分を残せば必ず得になる、という一律の基準があるわけではありません。
ここでいう「過半数を残せる」は、工事後も使える基礎、構造、屋根、外壁、仕上げ、設備などの価値を合計すると、建物全体の半分以上を生かせるようなイメージです。
主要な部分を多く残せるなら、リノベーションのメリットは出しやすくなります。反対に、基礎から屋根までほとんど直す必要があり、残すための補強に多くの費用がかかるなら、建て替えの方が合理的な場合があります。
比較するときは、単純な工事費だけでなく、完成後の耐震性、断熱性、間取り、維持管理まで条件をそろえて考えることが大切です。
迷うより、まず調べる
リノベーションがよいか、建て替えがよいか。建物を見ないまま考え続けても、答えは出ません。
図面や工事記録を確認し、現地で基礎、構造、屋根、外壁、傾き、劣化を調べる。必要に応じて一部を開け、見えない部分も確認する。そのうえで、残せるもの、補強すれば使えるもの、交換するものを分けます。
残せるものの価値が分かれば、リノベーションと建て替えのどちらが適しているかは、かなり判断しやすくなります。
迷っている段階で大丈夫です。今の建物に何が残せるか、萩森建設へご相談ください。
