萩森建設

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持ち家は本当に賃貸より不安なのか

賃貸と持ち家を、同じ広さ・同じ負担感で比べる資金計画の考え方です。

資金的に厳しいと感じている方ほど、「持ち家は危ない」「賃貸の方が安心」と考えがちです。

もちろん、無理な住宅ローンを組むことはおすすめできません。けれども、本当に比べるべきなのは「持ち家か、賃貸か」という言葉だけではありません。

同じくらいの広さ、同じくらいの住み心地、同じくらいの月々負担で比べたとき、持ち家には賃貸にはないメリットがいくつもあります。

むしろ問題になりやすいのは、持ち家そのものではありません。

賃貸では我慢できていたことを、持ち家になると「せっかくだから」「せめてこれくらいは」と叶えたくなる。その希望の分だけ、負担が増えていくのです。

まずは同じ負担感で比べてみる

今回は豊橋市郊外を想定し、次の2つの賃貸パターンで考えます。

1つ目は、家賃9万円前後の新築・築浅2LDK。面積は56㎡前後です。

2つ目は、家賃12万円を超える築浅2LDK。面積は66㎡前後です。

賃貸の場合、家賃だけでなく共益費や駐車場代も必要になります。豊橋市では車が必要なご家庭も多いため、実際の住居費は家賃表示より少し上がります。

一方で持ち家側は、住宅ローンだけでなく固定資産税、都市計画税、将来の修繕費も見ておく必要があります。

ここでは住宅ローンを40年返済、年利2%、元利均等、ボーナス払いなしで試算します。

持ち家側の資金計画は、細かい見積書ではなく、土地・建物・諸経費に分けた概算として見ます。

持ち家モデル土地建物諸経費・外構など合計
56㎡前後の小さめ平屋約1,000万円約1,700万円約400万円約3,100万円
66㎡前後の平屋約1,200万円約2,050万円約450万円約3,700万円

56㎡前後の小さめ平屋は、土地1,000万円、建物1,700万円、諸経費・外構など400万円を想定した計画です。66㎡前後の平屋は、土地45坪前後、建物20坪前後を想定しています。実際には、土地の形、道路、上下水道、地盤、外構、駐車場の取り方で大きく変わります。

家賃9万円台・56㎡前後の賃貸と比べる

たとえば、56㎡前後の新築・築浅2LDKを借りる場合、家賃が8.8万円から9.0万円くらいでも、共益費と駐車場を含めると月々の負担はおおよそ9.7万円から10.3万円ほどになります。

これに対して、持ち家側を「小さめの平屋」として考えます。延床56㎡前後、土地1,000万円、建物1,700万円、諸経費・外構など400万円。取得額を3,100万円程度とした場合、40年返済・年利2%の住宅ローンは月約9.4万円です。

そこに税金と修繕費の積立を月2.0万円ほど見ておくと、月々の実質負担は約11.4万円になります。

比較月々の目安40年の支出目安
賃貸56㎡前後・駐車場1台約9.7万円約4,656万円
賃貸56㎡前後・駐車場2台約10.3万円約4,944万円
持ち家56㎡前後・3,100万円ローン9.4万円+税金修繕2.0万円=約11.4万円約5,466万円

この時点では、持ち家の方が月1万円台ほど重くなります。ただし、家賃が将来上がる可能性や、土地が資産として残ることまで含めると、十分に比較対象に入ります。

しかも賃貸は、40年間ずっと同じ家賃で借りられるとは限りません。豊橋市の賃貸マンション相場は、LIFULL住まいインデックスの標準条件では2021年4月から2026年4月までの5年間で約6.1%上昇しています。年率にすると約1.2%です。

仮にこの程度の上昇が長期で続いた場合、月9.7万円の賃貸は40年総額で約5,931万円、月10.3万円の賃貸は約6,298万円になります。

持ち家は、固定金利で借りれば返済額は取得時点で固定されます。変動金利を選べば金利上昇リスクはありますが、「家そのものの取得価格」は契約時点で決まります。

ここが、賃貸と持ち家の大きな違いです。

家賃12万円超・66㎡前後の賃貸と比べる

次に、築浅で66㎡前後の2LDKを借りる場合です。

家賃12.6万円、共益費0.87万円、駐車場1台0.6万円で考えると、月々は約14.1万円です。駐車場2台なら約14.7万円になります。

これに対して、持ち家側を66㎡の平屋として考えます。

66㎡の2階建ても数字上は可能ですが、階段や上下移動がある分、同じ66㎡のアパートとは使い勝手が変わります。賃貸の66㎡と居住性をそろえるなら、平屋で見る方が近いでしょう。

土地45坪から50坪、延床66㎡、駐車場1台から2台、設備と外構を抑えた住まいとして、取得額を3,700万円程度で考えます。この場合、40年返済・年利2%の住宅ローンは月約11.2万円です。

税金を月1.1万円、修繕費を月1.3万円見ておくと、月々の実質負担は約13.6万円になります。

比較月々の目安40年の支出目安
賃貸66㎡前後・駐車場1台約14.1万円約6,768万円
賃貸66㎡前後・駐車場2台約14.7万円約7,056万円
持ち家66㎡平屋・3,700万円ローン11.2万円+税金修繕2.4万円=約13.6万円約6,530万円

この比較では、持ち家の方が月々の負担は少し軽く見えます。

さらに、家賃が年1.2%ずつ上がる前提で見ると、月14.1万円の賃貸は40年総額で約8,622万円、月14.7万円の賃貸は約8,989万円になります。

もちろん、将来の家賃が必ずこの通り上がるわけではありません。しかし、賃貸は将来の住居費が自分で固定できない、という性質があります。

一方で持ち家は、金利の選び方には注意が必要ですが、取得価格は契約時点で決まります。固定金利なら返済額も固定できます。変動金利を選ぶ場合でも、どこまで上がったら家計が苦しくなるかを事前に確認できます。

持ち家には、数字に出にくいメリットもある

同じ居住性、同じ負担感で比べると、持ち家には賃貸にはないメリットがあります。

まず、団体信用生命保険があります。

住宅ローンを借りるとき、多くの場合は団体信用生命保険に加入します。死亡や高度障害、または選んだ特約によっては重い病気になった場合、住宅ローン残高が0円になることがあります。

これは、家族にとって大きな安心材料です。

賃貸の場合、借りている人に万一のことがあっても、家賃の支払いそのものがなくなるわけではありません。住み続ける限り、家賃は必要です。

次に、資産が残ることです。

建物は年数とともに価値が下がります。修繕も必要です。けれども、土地代程度の資産は残る可能性があります。将来の社会情勢や建物の状態によっては、建物にも一定の評価が残ることもあります。

賃貸は、どれだけ長く払い続けても、最後に土地や建物が自分のものとして残ることはありません。

さらに、光熱費の選択余地も違います。

賃貸では、ガス会社や給湯設備を入居者が自由に選べないことが多く、特にプロパンガスの物件ではガス代が高くなりがちです。持ち家であれば、都市ガス、オール電化、高効率給湯器、太陽光発電など、地域条件や予算に応じて選べる余地があります。

毎月の差は小さく見えても、10年、20年、40年で見ると、家計への影響は無視できません。

では、なぜ持ち家は高く感じるのか

ここまで見ると、「同じくらいの負担なら持ち家の方が良いのでは」と感じる方もいると思います。

実際、同じ居住性、同じ月々の負担で比べるなら、持ち家にはかなり多くのメリットがあります。

では、なぜ持ち家は大変だと感じるのでしょうか。

理由はとてもシンプルです。

持ち家になると、我慢したくなくなるからです。

賃貸なら、少し狭くても我慢できます。収納が足りなくても、仕方ないと思えます。駐車場が少し遠くても、家賃を考えれば受け入れられます。設備が古くても、自分の家ではないからと割り切れます。

でも持ち家になると、話が変わります。

せっかく建てるなら、もう少し広くしたい。収納を増やしたい。駐車場を2台、できれば3台ほしい。外構もきれいにしたい。キッチンもお風呂も良いものにしたい。子ども部屋も、書斎も、ランドリールームもほしい。

その一つひとつは、悪いことではありません。

むしろ、持ち家の楽しみです。

ただし、その楽しみは同時にリスクにもなります。叶えたいことを増やせば、当然、取得額も月々の負担も上がります。

つまり、持ち家だから大変なのではありません。

持ち家で我慢したくないから、大変になりやすいのです。

賃貸だから安心、とは限らない

「賃貸の方が安心」と言われることがあります。

たしかに、引っ越しやすい、修繕を自分で背負わなくてよい、初期費用を抑えやすいといった良さはあります。

しかし、長く住み続ける前提で考えると、賃貸にもリスクがあります。

家賃は将来上がるかもしれません。更新や住み替えのたびに条件が変わるかもしれません。年齢を重ねたとき、希望する物件を借りやすいとは限りません。家賃を払い続けても、最後に資産は残りません。

一方で持ち家にもリスクはあります。

金利が上がるかもしれません。修繕費が想定よりかかるかもしれません。土地選びを間違えれば、将来売りにくいかもしれません。家を大きくしすぎれば、家計を圧迫します。

大切なのは、どちらが絶対に安全かではありません。

賃貸で我慢できていることを、持ち家でもどこまで我慢できるか。

そして、持ち家だからこそ叶えたいことに、どこまでお金をかけるか。

ここを整理することです。

持ち家は、我慢の仕方で変わる

資金的に厳しい方ほど、持ち家をあきらめる前に一度考えてほしいことがあります。

それは、「賃貸と同じ条件で持ち家を考えたらどうなるか」です。

賃貸で56㎡に住めるなら、持ち家もまず56㎡で考えてみる。賃貸で66㎡に住めるなら、持ち家もまず66㎡で考えてみる。駐車場、収納、設備、外構も、最初から盛り込みすぎない。

すると、持ち家は思っているほど遠いものではないかもしれません。

逆に、「せっかくだから」と条件を増やしていくと、持ち家は一気に高くなります。

この差が、持ち家の本質です。

賃貸だから楽なのではありません。

賃貸では我慢できるから、楽なのです。

持ち家だから大変なのではありません。

持ち家では我慢したくないから、大変になりやすいのです。

持ち家で叶えたい希望は、暮らしの楽しみです。

でも同時に、家計にとってはリスクにもなります。

だからこそ、最初に「どこは叶えるか」「どこは楽しく我慢するか」を決めておくことが大切です。

それができれば、持ち家は単なる負担ではなく、長い目で見て賃貸より大きな安心をつくる選択肢になり得ます。

試算の前提

  • 対象地域: 豊橋市郊外
  • 住宅ローン: 40年返済、年利2%、元利均等、ボーナス払いなし
  • 持ち家56㎡モデル: 土地1,000万円、建物1,700万円、諸経費外構400万円、借入3,100万円、税金修繕費月2.0万円
  • 持ち家66㎡モデル: 土地1,200万円、建物2,050万円、諸経費外構450万円、借入3,700万円、税金月1.1万円、修繕費月1.3万円
  • 賃貸56㎡モデル: 家賃8.8万〜9.0万円前後、共益費、駐車場を含め月9.7万〜10.3万円
  • 賃貸66㎡モデル: 家賃12.6万円、共益費0.87万円、駐車場を含め月14.1万〜14.7万円
  • 家賃上昇: LIFULL住まいインデックスの豊橋市・賃貸マンション標準条件の5年上昇率、約6.1%を参考に、年率約1.2%として試算

実際の建築費、土地価格、税額、修繕費、住宅ローン金利、団体信用生命保険の内容、光熱費は、物件や金融機関、設備仕様によって大きく変わります。この記事の試算は、個別の資金計画ではなく、考え方を整理するための概算です。

参考資料


執筆:荻野(二級建築士/有限会社萩森建設・豊橋市)
試算は2026年7月時点の記事作成用概算です。個別の資金計画、税額、ローン審査、建築費、土地条件、ハザード、地盤、外構、諸費用は必ず個別に確認してください。

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